| 米国で設立できる会社の種類には一般に、株式会社(C Corporation)、支店(Branch)、駐在員事務所(Representative Office)、共同事業体(Partnership)、有限責任株式会社(Limited Liability Company=LLC)、有限責任共同事業体(Limited Liability Partnership:LLP)、小規模法人
 (S Corporation)、個人事業主(Sole Proprietorship)の8つがあります。米国では、会社登記はすべて州政府の管轄であり、連邦政府への登記は不要です。
 1.株式会社(cf日本の株式会社)定款を作成し、各州規定の書類をそろえ、登記料や手数料とともに提出します(ファックスやオンラ
 インでの登記も可能の州もあります)。それと同時に、連邦政府機関の内国歳入庁(IRS)に納税者
 登録し、雇用主証明番号(EIN)を取得しなければなりません。
 2.支店当該州規定の書類をはじめ、登記料や手数料をそえて、外国法人の支店として当該州政府に登記
 します。設立州以外の州でも事業活動を行う場合は、その州政府に外国法人として登記しなければ
 なりません。
 3.駐在員事務所米国では駐在員事務所という事業体は登記上、認識されていないため、州政府への登記が不要で
 ある州が多いです。その代わり、駐在員事務所は事業所として認められないことから、商業活動を
 行えません。
 4.共同事業体(パートナーシップ)二人以上又は二つ以上の会社が合弁事業を行う時に多用される形態です。各州政府はパートナー
 シップ法を独自に整備しているため、規定内容は州によって異なります。税務上、法人課税されな
 いことから、事業の損失をパートナー個人の所得と相殺できるという利点があります。
 5.有限責任共同事業体(LLP)全てのパートナーがリミテッド・パートナーシップ(有限責任パートナー)で、いかなるパートナーも無
 限責任を負いません。LLPとして登記できる業種には、法律事務所や会計事務所、何らかの専門的
 コンサルティング事務所に限定されるのが一般的です。
 6.有限責任株式会社(LLC)基本的には株式会社の一種です。法務上は有限責任を負い、税務上はパートナーシップとして扱わ
 れます。LLPとの違いは、LLCの登記では業種が問われないということと、パートナーシップの権利の
 委譲には他のパートナーの同意が必要ですが、LLCでの権利(株式)の委譲が簡単であるということ
 です。なお、日本でいう合同会社(LLC)とは異なります。
 7.小規模法人(Sコーポレーション)形態上は株式会社ですが、実際には個人の零細事業です。発行株数や株主数に上限が設定されて
 います。つまり、法務上は、LLCと同様に有限責任を負い、税務上は、パートナーシップとして扱われ
 ます。金融会社や保険会社は小規模法人の形態を認められません。
 8.個人事業主個人が事業を興す時に多用される形態であり、日本で言う個人経営に相当し、事業主である個人と
 事業体が同一扱いされる。登記は非常に簡単だが、事業の債務が事業主個人の債務と見なされる
 ため、無限責任を負う。
 
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